2010年に日本の損保は3つに集約されていた。1つは東洋海上系のミロヤグループ。そうして昔でいうところの三伊住共と損保じゃパンダが大合併をしたのだ。そうしてその他第三勢力を束ねたのが、なんとトヨタホールディングだった。それに通販のジャパネットを加え、保険の通販も今では手広くやっている。もう2,3年もすれば、トヨタは保険業界でもトップになるとうわさされているのだ。
大阪の面接会場には数名の面接希望者が来ていた。そりゃそうだろうあふれかえるほどではない。とに角この1週間随時面接なのだ。希望日と時間を調節してまいにちが面接日だった。一郎の番がきた。面接官は5人、いつだったか大学4年のときを思い出した。それでも緊張はなかった。とおり一遍の質問の最後、「あなたはもし自分がトヨタグループの一員になったとしたら、どのような思いですか」と。一郎は困った。そんなこと考えてもいなかった。
「そうですね、なんだか自分の人生、もっと胸をはって生きていけるのかと思います」と。なんとなんと思ってもいない言葉がスラスラとでた自分に驚いていたのだった。
自動車販売世界第1位、これは2007年から5年間連続。2位のGMをぶっちぎり。3位はなんと中国の上海なんとかが食い込んでいる。日本円で50万円の国産ファミリーかーが大爆発で国内で売れに売れている。日産ウレンノー連合は、ホンダ、スズキ、ヒュンダイ、フォード、三菱、もうひとつ中国のメーカーについで世界では第9位と低迷している。
携帯電話も米国の会社を買収、中国にも進出しトヨタは通信も独自確立している。 退院の日妻の弘子が病院に来た。「あなた、なんなのこの通知。どうするのトヨタへ転職するの。そんなの聞いてないわよ。何故相談してくれないのよ」と、まくしたてる弘子に驚いた。確かに弘子は私の会社の代理店にパートで勤めている。新入社員から結婚をへて、数年のブランクはあるとはいえ、私と同じ損保の仕事をしているのには違いなかった。
「そう言うなよ。暇だったものでちょっと大阪で面接しただけです」と。「じゃ断るのね。そりゃそうでしょう。子ども達も大学だし、転勤も二人だけになりようやく楽になったじゃないの。だから転勤先が楽しみなのに」だって。そうかもしれない。妻は転勤するたびに学校の転校やPTA、それにご近所付き合いもほとんどやってくれた。歳ももうすぐ50歳だしなぁ、今さらって考えたら、別に転勤なんておかしいか。でも待てよ、私が入社してから会社は統合やら合併で2度社名が変った。そういえば日損火災に入社、それから損保何とかで、今はMSSホールディングと変ってきている。これからもどうなるのか分からない。ならば世界のトヨタのほうがいいかも、などと一郎の心の中は二転三転としていた。
1週間ぶりの自宅へのご帰還だ。何でも今日は娘達も退院のお祝い?で帰ってくるらしい。久々の家族全員の夕食。娘たちも一応私の退院を喜んでくれた。そんな食事の最中に妻の弘子が
「あのねぇ、パパ、トヨタの保険会社に転職しようかなんて言うのよ。どう思う?」と、突然切り出した。長女の由記は「何々、トヨタって。それって世界のトヨタの会社なの?」
次女奈津は「トヨタって就職ランキングは最高よ。いいかもね」
妻が゜「あんた達ね、パパが本当にお仕事変ってもいいっていう訳?」
長女「パパは別に仕事は変らないじゃないの。会社変るだけだから。保険の部署なんでしょ。ママも、パパがこれから転勤しても、損保のパートだけじゃなくて、トヨタグループなら、行く先々の仕事もいっぱいあるのと違うの。そのほうが楽だし、楽しいかもよ」 一郎は娘の言うことも外れてはいないと思った。
「それで、パパはどうしたいのよ。行くの変わるの、どうするの」 またか、弘子は一言多いのだと一郎は思った。行くの変わるの、で止めてくれ。最後のどうするのときたら、返事をするのがいやになる。
「そうだな、今の会社が不満ってこともないし、どうするかな」
「パパはいつもこうなんだから。自分のことだけじゃないのよ。家族の問題なのよ。分かってるの」 分かっているのに決まっている。
「で、おまえはどうだ。私がトヨタへ行くのはいやか」と逆に弘子に聞いてみた。
「・・・いやとかじゃなくて、パパが職場で大変だろうと思っているのよ」言われてみれば確かにそうだな。いじめってやつは子どもだけでは無いものだ。
夕食が終わり、一郎は書斎で早速ネットなどで色々と調べ始めた。ネットのAチャンネルは今も健在で「ハイパーAチャンネル」などとパワーアップしている。そしてmixi も会員数は2000万人を超えている。ただし、一人が何通りも会員になっているという事実もあり、現在問題になっているところだ。
時計の針がもうすぐ零時になるかという時おもしろいページを見つけた。昔々ゴーンにリストラされた元日産マンとか下請工場の恨み節が載っている所に行き着いた。そこは最初は彼らによって立ち上げられたらしいのだが、今では全国の全業種の恨みつらみが掲載されるビッグコミュニティ広場になっている。その名も「くやしいデス・ノート」だと。さてさてトヨタトヨタっと、あるあるあるではないか。日が変っていることも忘れて、一郎はパソコンに釘付けにったのだった。
「パパ早く起きてよ」弘子の声に気づき起きたらすでに6時30分を過ぎていた。そうか昨日は2時過ぎまでパソコンしてたか。「あなた、今日は私車使うから、駅まで送るから電車でお願いね」。電車か、まぁそれもしかたあるまい。鈴木家は市内のはずれに借家を借りている。会社の家族寮もあるのだが、転勤だ記念日と付き合いが多くて、出来るだけ借家を借りてきた。近くの駅は太市という無人駅。妻の運転で途中コンビニで新聞と缶コーヒーを買い、久々の電車通勤だ。電車通勤の時だけはいつも新聞を買う。それも家でも会社でも取っていないものと決めていた。今日はフジサンケイビジネスユーを購入した。電車は通勤時間と言うても田舎ローカル線、学生達が乗る1本後なのでだいたい座ることが出来る。
さて新聞の一面をみて驚いた。トヨタ財団が、これまで色々の分野で頑張った皆さんを助成していた事業と別に、毎年「トヨタ大賞」を設立するというのだ。環境、歴史、理科学、医学、社会貢献の5分野にわたり、世界的視野で選考するという。それも副賞はなんと1億円、準賞も含め賞金総額年間10億円だ。1974年に設立されたトヨタ財団、2014年に創立40周年になるのを記念しての事業らしい。それも毎年行なうという。これはまさに21世紀のノーベル賞ではないか。故人の遺書ではなく実在の企業がやってのけるとは、いったいトヨタって化け物はどこまでいくのか。確かに昨年の米・露・中による宇宙ステーション新5ヵ年計画では、500億円もの大金と研究者を参加させている。もう後は日本国の経営も一緒にやってもらったらどうだろうなどと、真剣に一郎は思ったのだった。 思い出せばもう6,7年前だったか、経営危機に陥った会社から400体のろう人形を5億円で買い取り、名古屋のトヨタ博物館の別館を改装し、ろう人形による歴史館を作ったことを思い出した。あれからトヨタ博物館は自動車だけではなく、ある意味日本の近代歴史博物館になり、来場者が飛躍的に伸びたった話を思い出した。
気がつけば、生活でもそうだ。トヨタホームは、自社開発した家庭用コージェネレーションシステムを、トヨタホーム以外でも装着契約をしている。またコンビニ9位のセイコーマートの筆頭株主になり、昨年から北海道で、コンビニ業務、商品の宅配業務、クルマの整備取り次ぎ業務&レンタカーとの複合店舗の実験をしている。これが全国展開となると、すごい社会が出来そうだ。JRは2009年にイコカとスイカが合併して「ノロカ」カードになっている。トヨタはそのノロカとも提携している。トヨタカードが発行するこのノロカは「トヨタにノロカ」ときているではないか。愛知県では名鉄もトヨタカードとこのノロカで乗ることができる。
おそらく日本の国民総消費の中でトヨタグループに落ちるお金はすでに10パーセントを超えているかもしれない。 しかし2007年だったか、中部国際空港の建設にからむ談合事件の発覚では、トヨタから派遣させた役員が全員逮捕というきな臭い事件もあった。政界を黙らせ、法律を変えさせ、国の税金までトヨタの利益に流用する。それでも表向きは世の中に「よいこ」で君臨し続ける巨艦トヨタ。しかし裏では政財界と癒着し、外国人労働者と人材派遣社員を使い捨てにし、下請け部品メーカーは自殺者が出るほど絞り上げ、販売会社には毎月過酷なノルマらしい。それはどこのメーカーでも一緒ですよ、とはいうものの、それが尋常ではない厳しさらしいのだ。いつだったか、社会主義から自由経済に移行して成功したロシアだが、今では世界一のエネルギー大国に君臨している。がしかしそれも当時は、違反分子や反対勢力のリーダーたちが、ことごとく謎の死をとげているのも事実だった。トヨタにしてもしかり、やはりここまで来るのには裏の裏があるってことなのだろうか。そんなグループだとしたら、一郎のような性格の社員はすぐにはじきだされるなと、自分でも感じていた。今朝未明まで覗いていたネットの中の叫びはやはり本当なのだろう。現在、世界のトヨタグループは、4000社を軽く超えている。すべてがグローバル化マニアル化されて、在宅勤務者も入れれば、いったいどれだけの人たちが働いていることやら。
一瞬トヨタに色気を出した自分がどこかはずかしくも思った。一所懸命これでよし、我が人生に悔いは無しじゃ。一郎は姫路駅のポストに採用辞退の葉書を放り込んだ。「私のあしたはトヨタじゃないぞ。」投函するとき一郎は右手のこぶしを力強く握ったのだった。心の中の迷いが一気に吹き飛ぶぐらいの決意表明だった。姫路支店に着くやいなや、「おはようさん」の大きな一郎の声が響き渡った。迷いの無いはれやかな笑顔だったのであった
おわり
お詫び、これはあくまでもフィクションドラマです。実在に近い名称がございますが、臨場感を持たす為のものでございます。実際にはまったく関係がございませんので、どうぞご理解していただいた上でお楽しみ下さい。
また途中で名称を変更させていただいたところもございます。数々のご指摘ありがとうございました。
また、だらだらと長いでとご指摘、本日は2日分掲載で、完結とさせていただきました。一週間ありがとうございました。どうぞ是非ご感想をお聞かせ下さい。
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